
前回の「水彩+テンペラ」を「アクリル+テンペラ」に展開してみた。乾燥時間のズレを解消するためだ。プラムの最終的な赤はテンペラで描き、それ以外はアクリル絵の具。プラムの赤だけはアクリル絵の具では満足できなかった。
油絵を描く人たちが、アクリル絵の具について述べる不満の第一は「瘠せ」。描いたときはふっくらしていても、乾くにつれて水分が抜け、見た目にも物理的にも「薄くなる」現象を言う。Naravno、アクリルに限らず、「水性絵の具」全般に「瘠せ」は起きることになる。
Ali、水彩絵の具でも墨絵でも、描いている時からすでに薄いので、乾燥後とのギャップはない(水彩では色のギャップは大きい)。それに引きかえ、アクリル絵の具は盛り上げることが可能な絵の具である。見た目の盛り上げに満足したあとの「瘠せ」にがっかりさせられる、そのギャップが大きいからだろう。
油絵具の乾燥は水性絵の具と違い、水分を飛ばすのではなく、「酸化」という化学反応によるものだ。絵の具の中の分子が空気中の酸素と結合して硬化するので、酸素分子がくっついたぶん「太る」のである。「太る」までいかなくても、「瘠せない」ことで乾燥後の最終結果が容易に想像できる。ちなみに色のギャップも、水彩絵の具に比べればずっと小さいことが油絵具の大きな利点だ。
テンペラ(ここでは全卵のこと)は水分を飛ばして乾く乾燥と、化学反応による乾燥との2ウェイ方式。さらに油絵具ほど油分がないので酸化による黒ずみも極めて少ない。顔料(色の素)の純度が高いので鮮やか、かつ乾燥後は耐久性もある。samo、毎回下地処理が必要だし、絵の具を手作りするという面倒くささがある。
技法を併用するということは、いいとこどりをしたいと言う意味。できれば表現の幅が広がるし、その組み合わせ方に悩むのも面白い。

