ドサクサまぎれ

       「青い石を掴め」2025  ミクストメディア

アメリカのトランプ大統領が自分が就任したら「24時間で(ウクライナ戦争を)終わらせる」半分ジョークのつもりで言った(はずだ)そんなのを真に受ける人など世界のどこにもいないと思っていたがそれをメディアが書き立てた(もちろん本人はそれを別の意味で意識していただろうが)それを多少は気にしたか、6ヶ月くらいと言い直したからさらにマスコミが「発言が後退」と騒ぎたてたトランプ氏は「この野郎」とでもメディアに対して思ったのだろう

もともと大好きな(彼は「独裁者」が好きなようだ)プーチン大統領と二人だけでウクライナ戦争の(一時)停戦を実現させようとしているようだ「6ヶ月以内を目標に」「口だけでなく実際にやった」とメディアに鼻を明かして見せたいのだろうもともと彼はメディアの人間でもあったから

No entanto、それだけでなく彼は基本は商人であるその商人根性まる出しの行動がウクライナに「レアアース」をよこせというドサクサ紛れの要求だいわゆる「ミンスク合意」には頬かむりまるで100%善意であるかのような支援を装ったままでの要求はほとんど「火事場泥棒」的だとわたしには思われる
 一方このバカげた戦争を始めた張本人であるプーチン氏には何一つ要求しないどころか独裁者好きらしい「ご丁重な」扱い一方のゼレンスキー氏に対しては最初から「優秀なセールスマン」などと上から目線である

 そういう行動がいかにアメリカ自身を貶めているか彼の掲げる Make America Great Again (MAGA)にも矛盾しているのは多くの人々の指摘するとおりである西欧側が反発するのは当然(チェコやハンガリーのように反発に反発する国もあるが)だがそれにもそれぞれ “別腹” があって結局は「自分たちさえよければあとはどうでもいい」という本来の欲望が見え隠れするもうこれ以上書く気を無くしそうだがそういう意味ではストレートに「モノをよこせ」というアメリカロシアの方がケダモノらしく正直なようにも見える

イチロー

「どんな生き物もいつもわたしたちの想像を超える」  水彩

野球のイチロー元選手が日本人として初めてアメリカの野球殿堂入りをしたというニュースが日本中に流れたそれについてわたしがつけ加えられることは何もないがひとつだけ「自分にも関わること」として書いておきたいことがある

わたしがイチロー氏を尊敬するのは彼の成績が超人的だからではない自分自身をとことん見抜いていく我慢強さとある種の「精神の弱さ(あるいは強さ)」とを彼独自の思想によって融合させたことにある野球殿堂入りへの投票では満票に1票足りなかったそのことについて「良かった自分に足りないものがあるということはいいことだ」と語った言葉にもそのことがはっきりと表現されているそして「これからが大事だ」いかにもイチロー氏らしい極上のコメントである

自分は弱い他の人に及ばないところがたくさんあると気づく「(気の)弱さ」が彼の「繊細な強さ」の底辺にあるとわたしは常々感嘆してきた彼の素直な感性なのだろうそしてそれを「何とか人並みに(少なくとも「あいつらより上に」などと思い上がってはいなかったに違いない)」の努力をたゆまず人の意見は参考にはしても結果はすべて自己責任とする「イチロー的」思想を胸の中に育て上げ結果としてあの高みに達したのだと思う一つ一つは誰でも少しはできること。No entanto、ほとんどの人が途中でサボるか諦めるかの二択になる

たとえばイチローを有名にした独自考案の「筋トレマシーン」がある当時はもともと体力に優れた米国などの選手たちにとって筋トレなどいくらトレーナーに説かれても心底から必要性など感じられていなかった。No entanto、日本人の中でさえ体格の大きい方ではないイチロー氏は渡米一年目にしてすぐ好成績を残しながらも心の中では米国選手との体力差を肌で感じたのに違いない「今と同じことが明日も来シーズンも出来るのか」そんな不安がぬぐえなかったに違いないそして選手や米国マスコミからの冷やかしや嘲笑を浴びながらも黙々と筋トレマシーンに向かうしか選択肢はなかったに違いない走ること投げること考えることのすべてにおいてそれは続けられた
 そして身に着いたのは筋力体力以上に他人がどう言おうと自分の感性を信じ実行するという「精神の強さ」だったとわたしは思うそれがわたし自身と比較しての(比較はわたし個人にしか意味がないが (^-^;)イチロー氏の偉大さだ

「品格」の使い方

「アンスリウム」  水彩

トランプ氏が第47代アメリカ大統領に就任した一期措いて二度目の就任はアメリカ史上二人目(もう一人は第22代、24代のクリーブランド大統領)昨年10月の大統領選挙でのハリス氏に対する勝利以来バイデン現大統領からすでに政権が移行したかのように彼の一言一句が注目を集めてきた

就任演説の内容をサマリーで見た就任の直後から準備していた「大統領令」などに片っ端から署名いかにもトランプ氏好みの演出だが確かに何事にもへっぴり腰のバイデン氏にはできない芸当で大して歳も変わらないのに「全然違う」感をアピールするのには願ってもないタイミングだった狙撃事件といい「運に恵まれた」大統領であることをアメリカ人に対してだけでなく世界中に印象づけることもできた

トランプ氏の言動とそのタイミングには世界中がオタオタしている感じだ実際そんなことはないのだろうがいわゆる “先進国” では政治家の大半はエリート層であり経済的にも恵まれた階級の人々だ自分たちと同質のエリートであるはずのトランプ氏がまるでジャンキーのような言い方をすることに“貴族階級” の人々が戸惑っているそんな感じであるたとえ戸惑っても “貴族階級” である彼らは結局自分を応援するしかない勝つためにはそれ以外の人達つまり “それ以下” の人々の気持を掴むのが鍵だというのがトランプ氏の戦略なのだろう
 「品格を一段落としてみせる」というラフな戦略民主党はすでにエリート意識に乗っかっているためにその戦略をとることが出来なくなった彼に対抗する多くの人々にもそれは解かっていただろうけれど彼のように声高に “下品な言い方” をしてみせるだけの強さがなかったのだろう

「品格を一段落とす」ことで大衆的に迎合するこの言い方では大衆とは下品なものだと言っているようにも聞こえる“炎上商法” ではないが大衆は往々にして反抗的非道徳的非常識的なものに惹かれる傾向があると言い換えようトランプ氏はそこを冷静に見極め一見過激に表現する冷静な商売人ならではの計算と根性?があるように見える。apenas、その戦略自体が少々古めかしい感じがするのは彼の趣味にもよるのだろうがたぶんそういうしたたかと過激さの両方をもつリーダー像そのものがすでに過去形であるということでもありそうだ