
「飛ぶ男」。もうひとつ、何か足りないと思いつつ、もう一枚、サイズアップして描かなくてはこれ以上見えてこない、と考えて「終了」。ある一定のサイズにならないと、見えてこないものがある。
マティスの、50号を描くための150号サイズの習作。ロートレックの、15号程度のリトグラフを描くための100号台の油絵習作など、小サイズのエスキースから大作へ、という常識に慣れ過ぎていることを痛感。5分の素晴らしいデッサンのために、何年もの積み重ねがあることを思い起こせば、習作のサイズアップなど何でもない。
海からほぼ垂直に立ち上がっている断崖絶壁の巣から、羽がまだ未発達状態のままのヒヨコが、自ら勢いよく飛びだす。当然のように、数十(数百?)mもひたすら落下するばかり。やがて張り出した下の岩に激突、跳ね上がって、そこからさらに転げ落ちていく。何度も激突、落下を繰り返しながら、海面に近い大きな岩棚で止まる。そこには2羽の大きな鳥が待ち構えている(BBC.Wild lifeの映像より)。
「全身砕けて死んでしまった。待ち構えている大型の鳥に食われるのか」と思った瞬間に、ピーピーと鳴きつつ立ち上がるヒナ。待ち構えていたのは親鳥たち。なんて過酷な巣立ち。そんな映像を見ると、ダメな絵を描きなおすなんて、「当然」以外の言葉はないですね。