
謎めいた絵になった。悪い意味で。もともとこの場所がやや現実離れした(実際は東京某所)謎めいた情景ではあったのだが、あれこれ理屈をつけて解かりやすくしたつもりでも、怪しい雰囲気までは解消しなかった(怪しい雰囲気自体はもちろんあってもいい)。
絵を描く人はすべてのモチーフをちゃんと解ったうえで描くものだ、などと出来そうもないことを言うつもりはないが、こんなモヤモヤはだめ。よく分からないことを、わからないまま描いているから、見る側にもそう伝わっている。
一番奥に、子どもが一人立っている。それがこの絵のヘソかな。構成上、画面の遠近法の焦点にいる。左手前、右の二人と、見る人の視線はジグザグにこのヘソに至る(はず)。この仕掛けによって、多くの人はきっとこの子の顔を見たくなるだろう。計算式はよかったが、それぞれの要素がどれも曖昧。これじゃ魚は釣れないな。