何枚目かの「シェルターの男」である。最初の「シェルターの男」は、防波堤のような、コンクリート状の壁の背後にうずくまっていた。手、足のあたり、頭部だということは分かるが、その手が何かを持っているのか、胡坐を描いているのか、足を投げ出しているのか、顔らしきものが感じられるが、それがどちらを向いているのかはっきりしない。それが第1作だった(2010秋)。
やがてシェルターがカプセル化し始めた。カプセルは外界から自分を守る、あるいは他と孤絶するためのものだが、カプセルの中の逞しい男はどう感じているのかは分からない。
「男」と書いたが、本当は女なのか不明である。いずれにしても、あまり愛嬌のありそうな感じは無く、人の形はしているが、少し野性動物に近い感じである。とすれば、このカプセル様のものは実はカプセルではなく「檻(おり)」なのかも知れない。誰かが閉じ込めたのだろうか。
今から30年くらい前、「檻」というシリーズを描いていたことを思い出した。