きれいで気持ちのいい絵ってダメなんですか?

「Apple のある風景」  2019

「きれいで気持ちの良い絵って悪い絵なんですか?」と時々聞かれる。અલબત્ત、そんなことはない質問者は絵を描いている人自分できれいだなと思うものを気持ちよく描くと先生や仲間にそんなの面白くないと言われることに時々疑問を感じつつ描いているある日とうとう聞いてみた

そんな人はきっとたくさんいるはず結論はすでに述べた「そんなことはない」それなら「そんなの面白くない」という人が間違っているのかといえばそんなこともないそれは描く側か見る側かの「立場」によって見方が変わるということに関わる問題でもありそうだ

「創作する」というのは簡単にいえば「新しいこと(もの)を作り出すこと」ふつう絵を描く場合誰かのコピーをしているのでない限り自分の見たもの感じたものをとりあえず真っ白のキャンバスに自分勝手に描く(たとえ出来が不満足でも)一方「鑑賞」とはまず「観る」ということだが嫌いな絵はとばしても好きな絵はゆっくり心ゆくまで楽しむそれが基本的な鑑賞の態度だそこでは「新しさ」や「自分勝手」など探し出す必要もないただ好き好きに従って味わえばそれでよい

そこで最初の質問はこう言い換えられるかも知れない「きれいで気持ちのいい絵を見ました私もあんなふうに描きたいのですがそれではだめなんでしょうか?」今度はこう答えよう「だめですそれでは創作になりません」気持ちの良し悪しではなく「そんな風に」がダメなのである少なくとも「自分流」でなくてはダメなのである(実際はとても難しいことだが)厳しいといえば厳しいでも助け舟自分流を押し通せばきっと楽チンで気持ちいい矛盾することではないのだたぶん