
今までほとんど絵を描かずに過ごしてきた人たちが、生成AIを使って “オリジナル” の絵を描き、「作家、画家」としてどんどんデビューし始めているというニュースが、もうニュースではなくなってきた。
鉛筆などの筆記用具もクレヨンや水彩といった画材も使わない。広いアトリエも用意しなくていいし、画材の知識も必要ない。言葉だけで、3~4種類の絵が3分で完成する。それが売れる。
美大を受けるためにデッサンなど時間を体力とお金を使って勉強したり、画塾へ通って腕を磨き、公募展などで入選、受賞と努力を積み重ねていく。日々の修練を欠かさず、お金と時間を割いて取材に行く。そんなことは無意味なことなんだろうか、少なくともプロを目指す人にとっては。
絵が下手だ、と自分の絵に自信を持てなかった人、描くのは好きなのに身体的にできなくなった人、そうした人々にとって、可能性が膨らむのはいいことだ。小説を書くなど考えたこともなかった人も、いくつかのヒントをAIに与えるだけで、小説家になれるかもしれない。心身を削って、一語一語絞り出さなくてもよくなり、作家の健康にとってもいいことだ。病気になって身体を動かすのも大変なのに、長い待ち時間を強いられる病院など行かず、AIのお医者さんに尋ねれば済むことは、患者にとっても、医療費の増大に悩む自治体や国にとってもいいことだ。
そのうちあらゆる発想もAIにお任せし、結果の判定もAIに任せれば、見解の相違などと対立することもなく平和になる。自分にとっての幸福とはなにか、もAIが考えて?くれるだろう。誰も悩みなど持たず、ましてや自殺など考えずに済むのはいいことだ。