
3個のざくろ。ひと枝につながっているのではなく、バラバラのものを重なり合うように置いただけ。自然のものはなかなかこんなふうには配置されない。
よく見ると変なところがいくつかある。赤茶色のテーブルの上に置いたから、映り込みがすべてその色になっている。スケッチの中ではその色は省略されているから、緑の葉はある程度緑色をしていなくてはならないのに、赤茶色のままになっている。見た感じに描けばこうなるが、ここは修正を要する。
腰痛がひどく、描くのがやっと。描く姿勢が長く保てない。制作をYouTube用に撮影したが、撮影も面倒になって、つい急いでしまう。準備中のライトを消し忘れたり、録画ボタンを押し忘れたり、気づかないうちにカメラを動かしてピンボケになったりと、トラブルも続出。急ぐことが原因だが、早く終了して休みたいという気が働いてしまうからだ。そんな気分がきっと絵のタッチにも現れているだろう。
他人の絵を見るときにもそんなものが見えてくる。絵というのはある意味レントゲン写真のようなものでもある。ふだんは見えないものが絵の中に見えていることがよくある。急いでいるような気分は特によくわかるものらしく、若い頃のわたしも「そんなに急ぐ必要はない。もっとゆっくり描け」とよく言われた。焦りのようなものが絵から発していたのだと思う。
隠しておきたいものほどよく現れる。自分では意識できないものほど露わになるから、絵はちょっと怖い。反対にこれはどうだ、とアピールしたいところなど、すっぱりと無視されてしまう。あるいは鼻つまみになる。いい絵、上品な絵、深い絵が、外見のいい人、上品な人、思慮深そうな人とはあんがい結びつかないのも面白い。