
Appel en 'n boek 2021 tempera
この作品は一応完成としたけれど、未完成かもしれない、そんな気分の絵です。本(画面上部の見開きのようなかたちになっているところ。本らしく見えないかもしれない)のページ部分を、最初はある程度白く塗りつぶすつもりでしたが、ここまで来て、この「未完成状態」のまま「完成」でいいのではないか、という気になったのです。
「描き過ぎ」というのはわたしにはよくある。特に時間がない時。時間のせいで薄っぺらいと思われたくないのか、かえって普段より描き込んでしまうことがままある。時間があるときは何度も中断して頭を切り替えることができる。コーヒーなど飲みながら、十分な距離を取って何度も眺めることができる。焦って描いてはいけないのです。
maar、あまりに単純じゃないでしょうか。暗めの緑の、似たような彩度だけで描くことがひとつの狙いなので、単純さはその結果でもあるのですが、絵である以上、それでもなにか心に訴える感じが欲しいのです。この絵ではビリジャン(青緑)の大きな平面にそれがあればいいのですが。
しばらく放っておくことにします。大事なことがあれば、向こうからまたなにか呼びかけてくるものです。聴き逃しや聞き違いをしないように耳を澄まし、静かに眺めながら待つ絵でしょうか。