
青い布の上に朝日が差している。カーテンの模様が映っているのを、チョークでなぞってみた。
手を描くというと、自分の手を紙に押し付けてかたちをなぞる同級生たちが何人かいた。つまらないと思ったが、人類史的に見ると、世界中の洞窟などに古代人たちが全く同じことをやっている。たかだか数千年前、一万年前とでは、人類の基礎レベル的にはほぼ同じなのかと、妙に納得できたことを思い出した。
地球はおよそ150億年後には、死を迎える太陽に飲み込まれて消滅する、と科学者たちが言っている。その半分までも人類が生き残るとはとても思えないが、人類最後の日、同じように朝日をなぞる人もいるかも知れない。