
頭が制作モードになかなか切り替えられない。調べてもきりがないが、クモ膜下出血に関する知識(役に立つものは一つもないのだが、知らないままでいられないのが本音)だけは増えた。病気の発症を防ぐ方法は無いようだし、MRIなどで脳動脈瘤があるかチェックし、適当な運動などでごく一般的な健康維持に努めるのが予防としてはせいぜい。
父は一昨日あたりからリハビリを始めている。手術後9日目。急性期リハビリというが、本人は術後2日目から自覚的に始めていた。家族のこともよく分からない意識状態で、「動かさないと動けなくなってしまうから」とはっきり言ったのには驚いた。母の体が弱く、しょっちゅう病院へ乗せていくため、運転ができなくなったり、日常の雑事に支障が出たら困るといつも考えているからだろう。少しボケかけた母も父のことが心配で、普段よりは頭がしゃっきりしていると弟が言っていた。確かに電話での話しぶりとは違い、しっかりしていた。
千葉県鴨川市に住む妻の母も、高齢の独り暮らし。すっかり体が弱り、食事を作るのさえ億劫らしいが、もっと困るのが買物。数年前から買い物カートにぶら下がるようにして歩くのだが、バス停まで往復3㎞の坂道はきつい。買い物後の荷物を入れて1.5㎞の上り坂はもう無理だと思うが、介護支援はしてもらえない。自力で買物に行けるという基準らしい。商店街に近い街なかで暮らしているのとは条件が違うのに。
自分のことで精一杯に暮らしているうちに、親たちは加速度的に年を取り、生活困難者になっていく。それがいまや現代日本の一般的風景だ。経済大国と豪語していた時代の貯金はいつの間に使い果たされてしまったのだろう。日本の借金は一千兆円になる。
クモ膜下出血では基本的に身体麻痺は起こらない。daar、出血の反応で脳の血管が収縮する(血管れん縮)のが普通で、それが二次的に脳梗塞を引き起こす可能性が高い。2週間を過ぎればそれも安定する。以前はそれから回復期リハビリというのを始めていたが、今は体を動かせるようになればすぐに始めるらしい。入院の当日からというケースさえある。
父の容体は安定してきていると思う。maar、家族との生活、精神面、社会との関わりなどこれからの方がはるかに大変だ。現在もたくさんの人々がそのことに苦しんでいる。それでも父などは幸せだと思う。ある意味充実した医療の恩恵を受けられた。
Egter、これからの若い人がそんな恩恵を受けることが、これからも出来るのだろうか。医療技術の進歩は確実だが、それが享受できるためには経済的、制度的、思想的な支えが要る。それをこれからの日本が支えきれるのだろうか。大震災に揺られて以来、日本全体がクモ膜下出血しているような錯覚に囚われる。頭がすっきり制作モードに切り替えられないのは、そのせいもあるような気がする。2011/8/26