
石破茂氏が自民党の新総裁になった。衆議院では自民党が単独過半数を占めているから、新内閣総理大臣ということになる(今日の臨時国会で正式に選出される予定)。地方の多くの自民党員だけでなく一般の国民も、これまでの彼の言動から、「自民党はちょっとは変わるかも」と一瞬思ったに違いない。
maar、文字通り「一瞬」に過ぎなかった。まったくすごいことに、新総裁に当選するやその言動を180度掌を返して見せたのには、驚きを越して呆れる以外にない。就任前日での衆議院解散、総選挙の宣言である。さすがは「自民党のための自民党議員による」自民党の総裁だ、と感嘆すべきなんだろうか。
Die mense ook、当の自民党議員でさえ少なからぬ人数が「まさか」らしい。つい二、三日前まで「新政権即解散」は「無い」、「選挙の前には国民の前に、しっかりと判断材料を提供しなければならない。たとえば予算委員会」と具体的に論戦の場まで主張して総裁選を戦っていたのに、当選した途端に「異例ではあるが、おかしくはない」ときた。
同じく総裁選を戦っていた小泉進次郎氏が衆議院解散に触れた時、わざわざ「総理にもなっていないものが解散に触れるべきではない」と釘を刺したその当人が、「就任前に」突然解散日程を発表したのだから、皆のけぞってしまったのだった。
個人的には、自民党の中ではまともな方だと思っていたが、完全に信用を失った。彼の常套句「信なくば立たず」の、「信」とは何だったのだろう。総裁選でのにわか助っ人議員たちだけに対する「信」だった、ということがこれで明らかになってしまった。野党の協力体制が整わないうちの選挙は、たぶん優位に進むだろう(いや、それも判らなくなった)。早晩「信がないのだから立てない」という持論を逆説的に立証することになるに違いない。