
水彩絵の具に初めて触れた小学校5年生の時以来、45年以上も経ってしまった。初心者の最初の嘆き、「下書きは上手く描けても、色になるとグチャグチャ」を私も味わった。
今ならなぜそんなに苦しんだか、良く解る。同じ嘆きを今も味わっている諸君。実は簡単なことで克服できるのだよ。それは「良い紙を使う」こと。厚手の高価な(これは我慢するしかない)紙を使うだけで、あれあれっと思うほどうまくいく。Probeer dit。
水彩からしばらく離れたこともあったが、それなりに忘れず付き合ってきた。ちょっと「扱いにくい」友人のようなものだったが、最近になってやっと「俺の気持ちが判ってくれる奴」になってきた。経験は友、is。そうなると、だんだん鉛筆での下書きが面倒になってきた。気持ちの通じる相手なら遠慮など抜きにして、話したいことをいきなり話せばいいじゃないか、てな感じ。水彩絵の具だけで直接描いた方がスッキリしてきれいだし、鉛筆より筆の方が幅も広くてラクだ。偶然のスリルもたっぷり味わえる。
Alhoewel、鉛筆やペンの上に水彩を乗せるのは、また格別。けれど鉛筆、ペンで描いても、下描きという意識はあまり無い。色で表現出来ないところは線で、あるいは線があることで、より色が自由になり、多様なコンビネーションが生まれるという意識に変わってきた。この感覚は、油絵の具のような重厚な画材ではなかなか得難い。コントロールしきれない、「色になるとグチャグチャ」が水彩本来の面白さだと思う。 2011/6/13