ありふれた風景だが、10年後も「ありふれて」いるかどうかはわからない。住まいの形態は時代とともに変わるだけでなく、戦争などで一気に変わることも、わたしたちはいま目の前にしている。
平日の午後、平和な団地。だが、ひっそりとして人影はほとんどない。時どき車が通り、ときどき自転車に乗った高齢者がよろめきながら過ぎ去り、カートにつかまった買い物帰りとみられる老女が、ゆっくりアパートの入り口に向かっていく。
関東の冬は陽ざしがある。緑の木の葉がきらきらと輝いている。暖かい室内から外を見ているとまるで春のようだ。Но、子どもの声は聞こえない。人々の話し声も聞こえない。平和な、ありふれた風景。