
青森県下北半島、東通村の砂子又(すなごまた)にヒバの埋没林(重要天然記念物)がある。埋没林とは数百年前の超巨大地震、大津波によって、一瞬にしてヒバの大森林が立ったまま砂の中に埋もれてしまったものだと説明されている。それが小さな水の流れで少しずつ、少しずつ砂が浸食され、埋もれた大森林がかつての姿を徐々に現わしてきたものだ。大きなヒバの木は現在生えているエゾクロマツの木よりはるかに太く、樹齢は百年を優に超えるという。その木は今もヒバ独特の芳香を放ち、現在立っているヒバの木と見分けがつかないほど新鮮だ。生きているといっても大抵の人は信じるだろう。いや、本当はかすかに生きているのかも知れない。
つい先ごろ、私達はテレビで真っ黒な水が家々を呑み込む巨大津波を見た。黒い色は海底のヘドロの砂だ。あの数十倍、数百倍の大量の砂が海の底から噴き上がり、一気に森を覆い尽くしてしまった。そんな巨大津波が、下北半島にもあったと埋没林は教えている。(下北半島には日本最大の砂丘がある(鳥取砂丘の数倍はあるらしい)。Terdapat、下北半島国定公園内にありながら観光に利用されることもなく、防衛庁の実弾射撃試験場に使用されて巷に知られることもなく、ただ砲弾の破片を撒き散らすだけになっている。)
倒れた鉄塔が、恐竜の骨に見えた。歩きながら化石化する、化石化しながら現代に姿を現わしてくる。恐竜時代だろうと現代だろうと相対論的には全く繋がっているらしいから、私の骨に対する嗜好は決して過去的なものでもなさそうだ。秩父・小鹿野町から群馬県・神流(かんな)村?につながる志賀坂峠には恐竜の足跡化石がある。ぬかるんだ泥地を恐竜が歩いた足跡が、その後の地殻変動を経て、垂直な崖になっているのを見ることができる。私達の時代の化石は、今現在そのままの姿で見えている。 2011/6/16