柿を描き忘れる

           「筆柿次郎柿」  黒と茶色のペン

柿は美味しい夢中で食べてしまってからアッ今の描いておくんだったともう最後のひと切れが喉の奥に落ち込む直前になって思いつくなんでもそう目の前のことだけになってしまってはいけない

トランプと習近平がいま激しく角突き合わせているトランプ課税をめぐって会談したトランプによれば「10点満点中の12点」で合意したそうだがとりあえず1年間という様子見合意に過ぎないレアアースと半導体技術でお互いが「やらずぶったくり」の腹の中目の前のことだけにならないかどうか

         「青柿」 水彩ウォーターフォード紙(荒目)

絵のモチーフとして玄関に置いてある青柿もだんだん黄色になってきたしばらく雨模様の日が続きそのせいか気温もグッと下がった。semalam、今日は晴れたが太陽にももう夏のようなエネルギーは無く秋らしい爽やかさが一年ぶりに戻ってきた

この青柿を頂く前にすでに赤い柿をたわわに吊り下げている木がいくつもあったたぶん柿の種類が違うのだろう甘い実は西欧でも人気があり特にスペインでは生産も盛んで中国に次いで世界2位の生産量だという
 ウィキペディアを見ると北海道南部から九州までのほぼ日本全域に育つとある松尾芭蕉に「里古りて柿の木持たぬ家もなし」という句がありそのまま読むとウィキペディアの記述と一致するかのようだがかつては福島県以北では柿はほぼ生育できなかったと記憶する東北を旅した「奥の細道」の作者には生産限界が見えなかったのかもしれない

柿は「カキッとしてなくちゃ柿ではない」という人が結構いる硬めのカキカキシャリシャリの食感が命ということだろうわたしなどは北国育ちだから木に生っている柿の実物を見たことがなかった流通の悪い当時ではそんなカキッとしたものは手に入るはずもない内側が甘くトロトロになりかけたやつしか食べたことがなくそれが柿というものだと思っていた今でもどちらかというとカキッよりはトロッの方が好きである

スケッチは水彩だけでなくアクリル絵の具を下地として少し使っている水彩だけにこだわらず効果があれば何でも使えばいい今見えている効果を水彩だけでやろうとすると案外大変なんじゃないかな

二紀展独立展を観て

昨日(10月20日)乃木坂の国立新美術館で二紀展と独立展を観てきました旧知の作家が二人も黒リボンつきで展示されていたのが悲しく寂しい

展覧会は団体展であれ個展であれ一種の体力勝負の場でもあります集中力研究心さえ体力がなければ続きませんから体力も “実力” の一部であることは間違いありません体力がないと展覧会を観に行く事さえできません地方に住んでいる人はそれに加えて財力もないと東京の展覧会に出品はもちろん観に行くことさえかなりの負担です
 団体展の会場では図録も売っているしある程度の団体ではホームページなどで会場作品を公開したりしていますが絵を描く人は実物作品を自分の目で見る必要が絶対にあります一本の黒い線がどんな材料で描かれているのかどんな下地にどのくらいの速さで引かれているのか等々図録などではまったく分からないのです

Tetapi、それはそういうところに出品する人たちの話一般の人はむしろ大づかみに色やアイデアを楽しんで欲しいし描く場合でもそんなふうにのびのび描いて欲しいものですもともと絵は他人と競争するようなものではないでしょうから

楽しくのびのびと子ども心のままに描きその積み重ねが知らず一つの高みに達するというのが理想ですがそんなこと誰にでもできることではありません都会の展覧会へ無理しなくても小さなスケッチブックを持ってあるいは図書館から画集を借りて絵に親しむ機会を増やすだけでも意味はあるんじゃないでしょうか
 天才たちの作品や展覧会の作品はそれぞれの道すじでの道案内のようなものなんです