

スーバーから「筆柿」を買ってきた(写真)。ずっとわたしのイメージの中にあった「筆柿」より数倍立派。筆柿は知っているつもりだったが、これは初めて見たかも、です。渋柿らしいけれど、上手に渋が抜けていて美味しかった。
わたしの頭の中の「筆柿」は、筆より小さい?「土筆(つくし)」だったのだろうか?ローソクの焔を逆さにしたような感じで、もう少し小さく、貧相な顔立ち(ごめんなさいね)だったような気がしてきた。通りすがりの垣根の向こうに生っている柿、工場裏手の誰も採らないままの筆柿も、こんな立派な柿ではなさそうに見えた。
この「筆柿」を見ていて、わたしはルーブル美術館だったかどこかで見た、ロマネスクの磔刑のキリスト像の顔を思い出した。柿の実の上部の「変な出っ張り」と下膨れのかたちが、哀れにもイバラの冠を被らされたキリストの輪郭とおぼろげに重なった。
Txoj kev、キリストの冠のイバラはどんな種類かについてちょっとだけ調べてみたことがある。
多くはセイヨウヒイラギ説とトウダイグサ科のハナキリンという説。柊(ひいらぎ)は葉に棘があり、ハナキリンは茎に棘がある。セイヨウヒイラギは、クリスマスにドアのところに飾るクリスマスホーリーに使われている。ハナキリンは育ててみたことがあるが、見た目には冠とはちょっと違うと思っていた。途中で枯らしてしまったので分からなかったが、そのまま成長すると蔓状になるらしい。「冠を編む」という点ではこちらの方がむしろ符合するのだそうだ(ともかくハナキリンは痛いよ)。
そういえば、ずっとあとになって、そのキリストの顔を水彩でスケッチした記憶も甦ってきた。