
しばらく旅行していない。「移動」と旅行とは違う。自分勝手な定義だが、旅行とは何がしか非日常的で、少しばかり風景や文化の違いを感じられる場所に行くこと。通過もだめ。そして必ずそこで当地のものを食べることという条件が重なってくる。さらに一泊以上すれば旅行感はグッと上昇する。
現実の時空の中での旅行だけでなく、空想の中の旅行もしなくなっているかも知れない。忙しいというより、ちょっとした冒険心も無くなっているんだな、きっと。チャレンジャー精神が枯れているんだ。Huag, kuv mus.。
学生の頃は、ザック(リュック)と寝袋一つあればどこへでも行けるじゃないかと思っていたし、実際そんな格好で一月以上も旅行できた。行けばなんとかなるといつも思っていたし、旅行先でたまたま隣のホームに入ってきた列車の行先を見て、急に心がそそられて逆方向の列車に飛び乗ったり、多少困ることがあってもそれ自体を楽しんでいた。それは自分の小さな冒険心だけでなく、多少の無茶を多めに見てくれる、広やかな心が日本中だけでなく世界中のどこにでもあったからだ、とも思う。その人情(必ずしも温かいとは限らないにしても)に触れることが、旅行でなくてはできないことだったのかも知れない。
旅行しよう。とりあえず現実でも空想でもいいから、まず一歩。チャレンジは決心が要るから、とりあえず決心の不要な好奇心を膨らますことから。触れてみる。やってみる。もう少しだけ遊び心を取り戻したい、と思うことしきり。