蟻のままで

 

小さな世界ではあるけれど

♪蟻のままで、蟻のままに〜♪ もちろん「ありのまま=在りのまま」 で、ヒットした「アナと雪の女王」のテーマ曲。でも、聞いていると、ディズニーなら「蟻の姿のまま」でもいいような気がしてくるから不思議。

蟻と蜂はよく似ている。蟻はアシナガ蜂やすずめ蜂から分岐したもので、これらとは蜜蜂、マルハナバチなどよりも近いのだそうだ(ちなみにシロアリはゴキブリの仲間)。

蟻の女王なら、栄光か死あるのみ。挫折から這い上がるなんてことはないようだ。日本なら10〜20年が女王の寿命だが、世界では50〜100年になる種もあるらしい。「蟻のままに」で、正解なのかも知れない。

クールベ「世界の起源」(オルセー美術館)

フェイスブックを、一人のフランス人が「表現の自由」を侵害したと訴えている(そういう訴えは毎日夥しい数になる筈だが)。フェイスブックがその個人のアカウントを「ポルノ拡散だ」と判断、閉鎖したからだが、その裁判をアメリカ・カリフォルニアでやるかフランスでやるかの、どこでやるかが焦点になっているらしい。訴訟を持ち込まれたフランスの下級裁判所では、(いかにもフランス的に)「この裁判は『当然』フランスで行われるべきだ」。

フェイスブックの言う「ポルノ…」は単なる理由づけに過ぎない。現に同じ画像がフェイスブック上にいくらでも見られるからだし、その程度のポルノなら現状、「お子様ランチ」レベルにも達しない。主題はやはりフェイスブックの「アカウントの同意事項」優位か、提訴受理国の「裁判権」優位かにあるようだ。

私の興味は少しずれて、問題提起の仕方とその対処法にある。アメリカ人とフランス人の想像力の違い(優劣の差ではなく)が垣間見えて、その推移がお酒の絶妙な「つまみ」になる(旧大陸《ヨーロッパ・経済力↓》と、新大陸《アメリカとカナダ・経済力↑》と文化の厚みの違いは、ソーセージの造り方の違いにもよく表れている)。

ちなみに、大げさなタイトルの「世界の起源」という作品は、ただの女性器を画面の中央に少しだけリアルに描いたというだけの観念的なものだが、当時のフランスではとても発表などできる環境ではなかったらしい。日本では浮世絵版画が一般にも容易に手に入るだけでなく、その表現もいっそう誇張され、ほとんど遊び感覚に近くなって、貴人、庶民、男女を問わずその表現自体を楽しむという、現代以上の芸術的レベルに達していた(写真の絵は本文とは関係ありません)。

平昌(ピョンチャン)・オリンピック始まる

平昌(ピョンチャン)オリンピックが始まった。開会式も少し見た。最も印象に残ったのは、最後の、インテル社提供の約1300機(台?)のドローンによる空中マスゲームだった。ドローンは自立思考型で、一機ごとに自ら風向きや風速を計算して、揺るぎのない五輪マークを描いて見せた。

国ごとの金メダル数やなんて、興味はないが、あのドローンに毒ガスでも仕込まれていれば…と軍関係者はヒヤヒヤしただろうから、当然その前にチェックしたに違いない。オリンピックは競技用品メーカーにとっても「技術オリンピック」なのはこれまでの常識だが、いよいよオリンピックでの、軍事メーカーの販促ショーが開幕したように見えた。次は、医療メーカーの「緊急事態対応ショー」にならなければ幸いだ。